トーキングヘッズ叢書No.15
『HOT BRIT GROOVERS EXHIBITION』より



偏屈な国、イギリスへようこそ!
ええと、魚喃キリコのコミックに『ハルチン』(マガジンハウス刊)というのがありまして、
その主人公、天然系キャラのハルチンは友人のチーチャンにこうたずねます。

「あのさチーチャン。ブリティッシュってどこ?
服とか音楽のジャンルだとよくでてくるけど、ニュースだとでてこないじゃん」。

困ったチーチャンは、「……じゃ、ユナイテッドキングダムってどこよ」と聞き返しますが、
ハルチンは「ユナイテッドステイズアメーリカのキングバージョン?」と大ボケな応えをします。

でも辛抱強い(とゆーか意地の悪い)チーチャンは
「じゃ、イングランドってどこのことかわかる?」。
ハルチン「イングランドはイングランドって国でしょー?」。
ハルチンはアホです。
しかし、サッカーのW杯などではイングランドはひとつの国として参加しますので、
あながちハルチンが間違っているというわけでもなかったりします。
でももちろん、アホなハルチンにそこまでの認識はありませんから、同情は不要でしょう。
なにしろチーチャンに「じゃあさ、イギリスって知ってる?」って聞かれて、
「バカにしないでよ。知ってるに決まってんじゃんッ」って怒りだしてしまうようなヤツなんですから。
ですが……
ですが、あなたの隣にもハルチンみたいなのはいません?
というか、もしかしてあなた自身もハルチンだったりして。
いいえ、自分は大丈夫、だと言っているあなたこそがあやしい(ハルチンだってそうでしたよね?)。
イギリスという国は、名前だけはすごく知られているだけに、
それだけでその国の中身まで知ったつもりになっちゃっている人も少なくはないような気がします。
ですけど極端な話、イギリスに「世界の常識」は通用しません。
イギリスは先進国のひとつだと思われている方も多いと思いますが、その反面、
何世紀も前の古いシステムがいまも機能している「後進国」でもあります。
「新しい」けど「古い」、「先鋭的」だけど「保守的」、
あらゆる面でそうした両極端を合わせ持っているイギリス。
いや、そうした両極端を許容してしまえているイギリス。
そんな、世界で最も偏屈な国をご堪能(?)ください!!
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