以心伝心 他力本願 猪突猛進

用意周到 豪華絢爛 疾風怒濤

合縁奇縁

ゲームデザイン

「TRPG ザ・対決」はどのようにしてはじまったのか―



今年も気がつけば夏。
 夏といえば海に山にとあれども、アナログゲーム業界にいればJGCのことを忘れるわけにはいけません。日本中から、ゲームをするためだけに、重たい荷物を持って集まってくる熱心なユーザーさんに会えるのはとても嬉しいこと。
 せっかく来ていただいたお客様に、

会場特製のおみやげ

を持って帰ってもらえるようにしておきたいわけです。


オリジナルのTRPG
 そういえば弊社は、いわゆるオリジナルのTRPGタイトルを持っていなかったりします。ということは、オリジナルTRPGをJGCあわせで発表すれば「これまでになかった商品」としてお土産基準を簡単に満たせるわけです。いや素晴らしい。
 とはいえ、普通にオリジナルTRPGを出版しても

面白くありません

こちとらお土産を作っているのであります。修学旅行で行った京都から帰る鞄の中身には湯葉と京大根は選ばれず、プラスチックに金メッキの五重塔と木刀が主力商品となるのがお土産産業(一切リサーチは行なっておりません)。正攻法でお客に喜んでもらえるはずもありません。


Works in Progress

 と、いうわけで思いついたのが、TRPGの多様性そのものをパッケージにしてみるのはどうか、ということです。
 同じテーマでゲームを作っても、別のデザイナーが作れば別のゲームになります。また、同じデザイナーが同じテーマで作ったとしても、時間の経過とともに、まったく別のゲームができあがっていきます。この変化は実際にゲームを遊ぶ皆さんの手に渡ってからも続くわけで、TRPGの楽しみ(あるいは特性)の重要な要素といえるでしょう。そこを直撃するような作品であれば、JGCというTRPGの祭典に来た人たち向けのお土産になるのではないでしょうか。


テーマはひとつ
 さて、では実際にこれをどう企画として構成するのか、ということになります。
 共通したテーマで、二人以上のデザイナーが競作するというのは基本ラインとしても、どうやってテーマを決めたものでしょうか。
 ここで、企画者はひとつ、仕掛けを考えます。テーマを決めてゲームを作るなら話は簡単。では、そのテーマを
イラストで提示

できないでしょうか? TRPGという言語ゲームに集中しがちなジャンルであればこそ、

ビジュアル的な直感

を存分に働かせてもらおうではないですか! テーマイラストはそのまま表紙のラフになるというお約束でイラストを発注すれば経費節減にもなりますしね!(←もちろんこっちが本命)

 松本先生、南郷先生の日程を確保し、佐々野先生にイラストのお願いができた段階では、そのようなことだけを考えていました。
 ええ、そのときまでは……。


●予定は未定
 デザイナーの松本先生と南郷先生、イラストレーターに佐々野先生をお迎えしての第一回打ち合わせ。佐々野先生には、テーマとして下のようなラフを持ってきて頂きました。




 文字で一杯だよ!


 あー、えーと、佐々野先生という段階でそれは予想済みでしたから。デザイナーの先生方も可愛らしいイラストに狂喜乱舞していますし、まずは成功といえるでしょう。
 そこで改めて今回の企画の確認をします。
「今回の企画は、このラフをもとに、お二人で競作を……」


「勝負ですね!?」


「トミー(松本先生)には負けられないねー」
「むー、お前は佐々野先生と別件でずっと前から仕事してるからなー。俺、圧倒的に不利じゃん」

 あの、だから競作、って……

「それを言うなら、トミー、お前はサードとずっと仕事をしてきているから、その分俺のほうが不利だ」

「なら条件を揃えようじゃないか。
互いに一つずつテーマを出し合う。

で、

佐々野先生のラフと、
お前のテーマと、
俺のテーマで、
三題噺にする

というのでどうだ」
「それから、最低でも××日まで俺は他の〆切で動けないから〆切は×日」
「そ……それじゃ、編集する時間がないっすよ」
ノーディヴェロップです。対決ですから、デザイナーの生原稿で勝負です」
「受けて立とうじゃないか!」


やれやれ……。


「それではテーマをお願いします」
「難しいな……俺の得意なテーマで勝負するか……あえて南郷隆の苦手なキーワードを出すか……」

 盛り上がってます。
 ……では先生方、お互いのテーマを。













「黒幕」






















「スクール水着」
























?





























 どっちがどっちの発案かは、あえて伏せます。ええ。製品のどこかにヒントが書かれているかと。


サバイバルマッチ
 ここまで盛り上がったところで、ふとアイデアが心をよぎりました。この盛り上がりを読者と共有してこそ、企画の意義があるというもの。いわゆる「適切なプロモーション」が必要なわけです。

アトリエサード社長「広告宣伝費かけすぎないようにね」

 わかってますって。宣伝費はかけません。

「ところで先生方。ここは対決の本気度を増すために、
読者にどっちがいいか投票してもらって、
その勝負の結果によって
原稿料の配分率を変える

というのはどうでしょう!」

「うおおおぉぉぉぉぉ」
「いいですね、それいきましょう」
「せ、生活があぁぁぁ……」
「ふふふ、原稿料はすべていただきだ」

 同意もとれたところで、社内企画書のかたちにまとめなおして、社長の最終決裁に回します。いろんなところがいろいろ好評だったようで、企画は正式にスタートです。

 数日後。

 企画タイトルも「TRPG ザ・対決」と決まり、広告版下もでてきます。「読者投票の結果によってデザイナーの印税率も変わります! プライドと生活を賭けた戦いが始まる!」。ノリいいですね。まあ、最終的にはかわいそうなんで50:50にしますが……。

社長「読者にウソはいかん!!」









































え!?






























 ……果たして結果はいかに……。


▼前のページにそっと戻る

▼JGC04特設ページに向かう